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ウルトラセブンmore than半世紀ぶりに見る

ひょんなこと(月曜はNHKBSで「ワールド・ニュース」がない)から
『ウルトラ・セブン』をほぼ半世紀ぶりに見た。
つけた時はもう第1話が終わるところで、しかしすぐに第2話が始まった。

1967年放送開始というから、私にとっての画期であるSgt. Pepper's世界同時発売の
年ということになる。

カラー放送であって、私の家では当時「天然色」でそれを見ることができた。
叔父の家が東芝の特約店で、カラーテレビの購入は早かったのだ。
『ウルトラQ』、『ウルトラマン』などと続いた円谷プロのウルトラ・シリーズ第4作と
いうことであった。

モロボシ・ダンがハヤタ隊員より近しく思えたこと、
アンヌ隊員に心ときめいたこと、
ウルトラマンの着ぐるみを着ていた古谷敏さんがアマギ隊員となっていて、
頼もしさを感じ、またそのハンサムぶりに憧れたこと、
キリヤマ隊長の声が好きだったこと、
オープニングのイントロが荘重でいて希望あふれるものであり、胸熱くなったこと
(作曲者は冬木透さん。後『機甲界ガリアン』で図らずも「共演』となった!)ー
などなどを思い出した。

第2話「緑の恐怖」ー

地球防衛軍の一員が、宇宙ステーションでの長い勤務から地球に戻り、
一週間だけの休暇を取るのだが、帰ってきたその隊員は、実は植物様の姿をした宇宙人の
変装であったのだ。
その変装を可能にしたのは「電子頭脳」であって、それは電動ノコギリでは傷すら
つかない銀色の岩状物体の中に隠されていた。
その物体は変装した宇宙人が自室に保管していた。
それとそっくりながら、大きさは数倍もある岩状物体は休暇を取りにきた隊員の
豪邸の庭に落ちてきたもので、ウルトラ警備隊本部に回収されていた。
その中に、本物の宇宙ステーション要員の隊員が眠らされていたのだ。

植物様の姿をした宇宙人は次々と人間を襲い、自分と同じ姿に変えてしまう。
地球防衛軍は「このままでは完全に地球が侵略されてしまう」と危機感を持つ。

モロボシとアンヌ隊員は宇宙ステーション要員の自宅へとお手伝いさんに
呼び出され、「机の中で変な音がしている」ということで開けてみると、
上記の小さめの銀色岩状物体が出てきて、これはモロボシがトンカチで容易に破壊する。
出てきたのは人間変装を可能にする遠隔装置(電子頭脳)だった。
「隊員は今どこに?」とモロボシがお手伝いさんに尋ねると、
夫人と共に箱根へ向かったと言う。

その夫妻はその頃小田急のロマンスカーに乗っており、
夫の隊員は、左手が植物様に変わっていくのを手で押さえて夫人に悟られまいとするが、
結局全身が植物様になってしまい、夫人や他の乗客、ロマンスカーの運転士も
大パニック状態となり、這々の体で車外へ逃げ出す。

モロボシとアンヌはその現場に到着するが、ほどなく植物様の宇宙人は巨大化し、
そこでモロボシはウルトラセブンに変身、アイスラッガーとエメリウム光線ですぐに
粉砕し、宇宙ステーション要員も救い出され、すでに植物様生物に変えられて
しまっていた地球人たちは、大元の粉砕死滅でなぜか元に戻り、侵略は防がれた。

はあ。
粗筋を書いてみたが、疲れた。

*

見ていて、とにかく苦笑ばかりした。

宇宙ステーション要員は、無重力状態に長くいたのに、まるっきり普通の状態で
地球に帰還したのだった。つまり無重力状態を解消する技術を地球防衛軍は
もう持っていたことになる。にもかかわらず、ウルトラ警備隊のクルマ、
「ポインター号」はマニュアル・ギア・チェンジ車だったりする。

緑の宇宙人は、高度な文明、すなわち、恒星間旅行ができるというすさまじい
科学技術を持ち、「電子頭脳」も開発できるのだけれども、
それらを製作するであろう指や手がないのだ。
いったいどこにそうした精密な作業をする体の部位があるのだろうか。
また、しかたがないこととは云え、この植物様宇宙人には四肢がある。
明らかに人間と体の構造は近似であり、ところが手や指が<ひらひら>である。

モロボシは、お手伝いさんに電話で呼び出されて、すぐ近くにいる隊長に
一言も告げずにアンヌと共に出て行ってしまう。おいおい。

植物様宇宙人は、地球人を自分らと同じ姿に変えることで、何をしたかったのだろう。
これは結局生殖活動なのだろうか。


こうした笑えるネタを当時少年だった私が、ウルトラ・シリーズに夢中になっている
級友たちなどに話していたら、きっと私は「未来から来た少年」だったろう。
いや、自分らが大好きなものを腐す嫌なヤツだったろう。

そして、私は確かにウルトラ・シリーズに夢中にはならなかった。
嫌いではなかったが、心奪われることはなかった。
リアリティーという点では、ウルトラ・シリーズが意識したというイギリスの
『サンダーバード』の方によりそれを感じた。人形劇なのに、である。
『サンダーバード』では大ヒーローはおらず、悪役は人間だった。

円谷プロが、日本人が、日本の子どもたちが、「超人」を求め、
外敵を宇宙に求めたのはどうしてなのだろうか。

そんなことを思った。

なお、円谷プロダクションが在ったのは東宝砧撮影所と仙川を挟んだ砧7丁目。
私の散歩コース上だ。
祖師ケ谷大蔵の商店街は「ウルトラマン商店街」として、街灯がウルトラマンの
横顔に見えるデザインとなっている。
駅前広場にウルトラマンの立像があり、カネゴンも意外なところに座っている。

少年だった私が、半世紀ほど後ウルトラマンの「生まれ故郷」周辺に暮らすことに
なるとは、たとえ私が「未来から来た少年」であっても予測不能だった。



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