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大谷が浮いている

昨日おとといと、大谷翔平の異次元的な活躍を目にした。
世界中の野球好きは皆、2本のスリーランホームラン、8打点の活躍の翌日、
「career high」の8回までで13奪三振2被安打無失点の無双のピッチャーともなった
この「怪物」の畏ろしさに今震撼しているのだ。

世界最高レベルのMLBで、草野球ならありうる「two-way(優れた投手であり、
しかも強打者でもある)」を実現してしまっている大谷に対しては今までのどんな
賞賛の言葉をもってしても褒め尽くせない。

しかし今回私はあまりの怪物ぶりに浮いてしまっている大谷のことを書きたいのだ。

おとといのゲームで、大谷を慕う新人と言っていいAngelsの外野手Marshが、
大谷に<いつものように>アドバイスを求めにだろう、ベンチ内で近寄って行き、
話しかけたのだ。ところが大谷は戦況よろしくない中、自分がどうすべきかを考えて
いたのだろう、少し迷惑そうな面持ち(これはもちろん私の主観だ)で言葉少なに
応答し(もちろん英語力の問題もあるが)、Marshは踵を返し、数歩の後、
明らかに憤った感じで、何も持ってはいなかったが、右腕で叩きつけるような仕草をした。

これはKAORUという大谷を追うYouTuberのビデオに捉えられていたのだ。
彼女も少し心配していた。

大谷は去年MVPを獲りつつ、所属するAngelsは好きだが、弱小であり、
他のチームで勝ちにこだわりたいと取れてしまう趣旨の発言をして、
ちょっとした騒ぎになった。

一昨日はMarshのこともありながら、2本スリーランを打ち、特に2本目のは
土壇場で10対10の同点に追いつくホームランで、彼はバットを投げた後、
ベンチに向かって指差し、雄叫びを上げ、お前らも奮起せよというようなジェスチャーを
したのだった。

むろんベンチはこの大スターの土壇場同点スリーランに大興奮し、狂喜していたが、
しかし、「大谷だけ活躍しても」とか、「大谷がAngelsにいるのは勿体ない」などと
去年からずっと言われているのを勿論皆知っているのだ。
大谷が「Angels愛」しかないように振る舞っていたならまだしも、
去年の発言もあるから、興奮が冷めた後、「おい、しかしよぉ」と言い出した同僚も
いたに違いないと私は見る。

「俺はこんなに頑張ってるんだ。お前らも同じほど勝ちにこだわれよ!」

大谷のtacit(暗黙の)な檄にシラける選手は絶対に存在すると私は見た。

そしてAngelsは、その同点打にもかかわらず、結局延長戦で1点差で負ける。


そして昨日ー
大谷は7回まで100球を超えて投げていた。
当然MLB基準では交代だ。
確かAngelsは7回で3点リードになったし、監督は継投で行くはずだった。
しかし大谷は打診にきた監督に続けざま「No!」と大きな声で言った。
英語でそのぶっきらぼうさを補うことはできないというのもあるが、
監督もタジタジというような面持ちだった。

「クローザーのイグレシアスがいないんだからなおさらだ。
あと2回、誰かに任すわけにはいかない。少なくとも1イニング、最終回だけだ。」

そう言いたかったに違いない。
しかし大谷はそうは英語で言えない。
さらに言ったら言ったでベンチの他の選手たちはいい気持ちがしなかったろう。

8回、悲壮な表情で大谷はマウンドへ上る。
最後のバッターを見逃し三振に討ち取り、ガッツポーズ、そして下を向きがちに
ベンチへと戻っていく。誰もが孤軍奮闘と形容したくなるような雰囲気だった。

相棒のキャッチャー、スタッシと拳を合わせたし、ベンチでも監督、コーチ、
多くの選手と同じことをしたけれど、笑顔がなかった。

私は、大谷は孤立している、と思った。

9回、クローザーのテペラが3人で抑え、Angelsはまたも大谷の活躍で連敗を止めた。
マウンド近くでの選手全員による勝利のハイタッチでも、大谷に笑顔はなかった。
多くの選手が大谷を特別讃えるようなこともなかった。
ハイタッチの後、お尻をさらに叩くのが親愛と深い労いの気持ち、賞賛を表すのだが、
大谷に対してそうした選手はほとんどいなかった。

大谷は浮いている。

私はそう確信した。
成績、実力で他の選手に比べようもないほど<浮いている>のだからしかたがない。
けれども、大谷が勝ちにこだわればこだわるほど、<不甲斐ない>選手たちは
大谷が煙たくなってくる。

少なくとも、大谷がAngelsを去るのは、遅かれ早かれ、間違いない。



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