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将棋ファンになって40年、この「僥倖」

やはり思った通り藤井三冠は4タテで豊島竜王を降し、
棋士序列一位の4冠、竜王、王位、叡王、棋聖ということになった。

大長考の末、残り10分となって8七飛車成りとしたところで、
持ち時間を2時間以上を余す竜王に下駄を預けた。

「考えに考えました。きっとこの手で評価値は下がるでしょう(実際下がった)。
けれど、竜王が最善手を連続させ私の玉を討ち取らぬ限り、私は隙あらば確実に
詰ましますよ。さあ、最善手のラッシュがかけられますか?」

そう言っているように私には思えた。

解説の三浦九段も本田五段も大盤の駒を何度動かしてもその「最善手のラッシュ」が
分からないままになっていた。
竜王は99分考え、まずは最善手を指した。次も最善だった。
ところがその次に3五桂と指して終わってしまった。
藤井三冠はその後竜王の玉の逃げ方に合わせいくつもの詰み筋を用意しており、
最後は「打ち歩詰め」という反則にならぬよう工夫した美しいだけの詰み手順で
確か残り8分という中(つまりたった2分で)竜王の玉を憤死させたのだ。

豊島竜王は、いつもどおり、潔い所作で「負けました」と告げた。
涙が出た。
最強者しかなれない竜王という地位にいた者が、なんと一勝もできず19歳の若武者に
討ち取られてしまったのだ。
しかし竜王はいつものように、右手を駒台に乗せるようにして、
深々とお辞儀し、負けを認めた。
藤井三冠も同じほど深々と、長くお辞儀をし返した。


すべての棋士が藤井新竜王の圧倒的強さに戦慄を覚えたに違いない。
いや、今までもプロたちにとって震えがくるような勝ち方を重ねてきた
藤井くんだけれど、それまでの第一人者と言える渡辺棋聖(名人)を3タテにし、
もう一人の王者豊島竜王を4タテにしたのだ。

体調を崩さぬ限り、藤井4冠が残りの4タイトルも獲ってしまうのは明らかだ。

将棋ファンになってもう40年だけれど、こんな棋士を見られるなんて、本当に幸せだ。



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