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2022 春分前日記

昨日の記事だけれども、書き漏らしていることがあるのでー

それまでの練習量が8千時間、4千時間の学生には一人として「トップレベル」に
到達した者がいなかった、というのだ。
才能に恵まれているなら、8千時間や4千時間でそのレベルに達する者もいそうだが、
そういうことではなかった、と。

1万時間と8千時間の差を感じ取るのは至難かもしれないが、
この調査ではもちろん最高レベルの教授陣、演奏家、批評家が付き合っていただろうから
そこに疑念の余地はないと思う。

練習の大事さー

「天才」や「トップレベル」のミュージシャンは皆知っていることだ。

*

そして将棋界ではその1万時間以上の研究を重ねてきた天才やトップ棋士たちが
割拠しているのだけれども、そのうちの一人の豊島九段がNHK杯で優勝した。
ひたむきな人であり、<父性本能>をくすぐられるところもあって私が好きな棋士の
一人だ。

彼や、藤井五冠、永瀬王座などのトップ棋士たちはみな研究時間1万時間をゆうに
超しているはずだ。そしてそのレベルから、才能というものが物を言うのかもしれない。
なにしろ藤井くんがthe best of the bestにいられるのは、将棋の総合的な学習・研究
時間が飛び抜けているからだと私は思う。
その総和の中、詰将棋にかけた時間は他の棋士を圧倒しているはずで、
これが彼を比類ない棋士にしているのは疑いなく、
そこに序盤や中盤の研究時間をさらに付け加えているからこその五冠なのだと。

*

今、昔買った仲代達矢さんの回想録とも言える、氏自身の俳優人生を、出演作品、
その監督やスタッフ、俳優仲間との思い出と共に語った本を読み返している。
〜春日太一著『仲代達矢が語る日本映画黄金時代』(2013年PHP新書)

一度読んでおいて、「え、こんなこと書かれてたっけ」などと驚くことがあるけれど、
この本もそういう<新事実>満載なのだ。

仲代さんは元々俳優座出身の舞台役者だが、映画俳優として大成したと言っていい。
私が子どもの頃は、彼のギョロッとした眼が少し病的(Wittgensteinのよう)に見え、
怖いというイメージしかなく、長く好きにはなれない役者さんだった。

氏は映画会社と専属契約をせずにいろいろな作品に出演、さまざまな監督と出会ってきた。
それでも、本の巻末にある出演作品一覧を見ると、1954年のデビューから1970年までは
圧倒的に東宝との仕事が多い。

Wikiとかを見ると、仲代さんは目黒区生まれ、父親は茨城県出身の京成バスの運転手
(George Harrisonも父親がバスの運転手だった)、母親は「五反田小町」と呼ばれた
「薬局の看板娘(by Wiki)」だったそうだ。

小2の時父親が亡くなり、世田谷区瀬田に住むようになったという。
以降世田谷区との縁が深いのだが、なにしろ最初が瀬田だったことは仲代さんにとって
もしかすると大きなことだったかもしれない。

女手一つで仲代さんを育てることになった母親、困窮する生活の中、
瀬田の東隣である「用賀の小学校(その頃は京西小しかなかった)」に通い始め、
きっと転校生として複雑な思いをしたに違いない。
母はその後港区青山の弁護士事務所に勤めるようになってそちらに移り、
仲代さんは青南小に転校するが、教師に貧乏人が来る学校ではないと罵られる。

戦火激しくなり調布市仙川に疎開、45年4月、京西国民学校を卒業して帰ってくると
母は弁護士の「妾」になっており、父親の異なる弟も生まれていたのだった。

その後渋谷に住んだりもしたらしいが、すぐに空襲で家屋が焼かれてしまい、
以降は世田谷区の千歳や烏山などで暮らしを立てられていたらしい。

仲代さんの自宅と演劇私塾である「無名塾」は世田谷区岡本に在る。
この岡本、二丁目や三丁目は相当の高級住宅地だ。
仲代さんが父を亡くしてから母と二人最初に住んだ瀬田の西隣となる。
氏はきっと、子どもとして緑豊かな岡本に惹かれ、長くはなくとも遊び場として独り
親しんだに違いない。慣れぬ土地に来て、京西国民学校(現・京西小学校)に入り、
友だちもまだいないという中、孤独を癒したところだったろう。

<だから>、俳優としてがむしゃらに働き、財を成して住むところは岡本だったー
そう思う。

岡本は、多摩川支流の一つでやはり同じく多摩川の支流の仙川とも合流する丸子川で
東西が分けられる。仲代さんの邸宅兼私塾は東側ということになる。
この川をー2キロくらいだろうかー遡れば東宝砧撮影所に至る。

仲代さんの故郷は、もちろん目黒区ではないだろう。
瀬田、用賀、岡本辺りということになるのは間違いない。
そして砧、成城も含めていいのかもしれない。

うれしいではないか、私にとって。

<「無名」歌うたひ>が、『用心棒』や『椿三十郎』の、あの仲代達矢と同じところで
蠢いているなんて!



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