SSブログ

直軒

いよいよ今使っているMacBookが「outdated」ということになってきた。
Wikipediaがすでにキャッシュでしか閲覧できなくなってしまった。
Flash Playerがもうサポートされなくなるし、
私が使う無料将棋ゲームももう余命幾許もないのか。

Garagebandを引き続き使いたいので、AppleのPCを新規購入となるけれど、
高いんだよね、なにしろMacは。

*

昨日つらつらTV(CATVとBSしか視聴しない)を見ていたら、
山本周五郎の人生をドラマにして描く番組が再放送されていたのだ。
私はこの小説家の本は、自慢ではないが、一度も読んだことがない。プ。

それでも冒頭の<つかみ>の部分で、直木賞を辞退した唯一の小説家というのを知って、
これはちょいとおもしろそうだと見続けた。

この人は本名清水三十六(さとむ)だそうで、番組では一切触れなかったが、
賞の由来である直木三十五(さんじゅうご)のペンネームに近いのだから驚く。
山本の方は明治36年生まれゆえの本名、直木は本名植村宗一、
「植」を分解しての「直木」だそうで、下の方は年齢によるのだそうだ。
(よって年齢の変化で下の名も変わったが、三十五で文藝春秋創設者菊池寛に諭され
三十五で打ち止め、三十六とはしなかったそうだ。)
三十六は三十五の賞を貰わなかった・・・<超越>していたのだなあ。プ。

清水はなんと私が忌避する(失礼!)山梨の大月在郷=初狩の出身だそう。
甲州街道沿いとは云え今でも田舎だし、明治の頃などはほとんど秘境に近かったろう。
本籍は韮崎市で、武田の家臣の血筋だったともいう。

この清水家、水害に襲われまくって、三十六を中学には出せないということで
銀座の質屋山本周五郎商店に12歳で丁稚奉公、その後恩人にもなる店の主人名を
筆名にしたというのだ。

直木賞を辞退し、文壇では彼を「曲軒」、すなわち臍曲がりと揶揄したそうだ。
確かに拘りの強い人で、すべての賞を以降も辞退している。
しかし、文藝春秋の編集者だったかが、「むしろ彼は<直軒>だった」と言っていた。
私もそのとおりだと思う。


ファンでもない山本周五郎のことをこれ以上の仔細につき書くことはしない。
私がおもしろいと思ったのは上での最後の方の<臍曲がりは実は曲がっていない>と
いう話なのだ。

「折角の賞を貰はないなんて、随分山本さんは臍曲がりなんですね。」
「いゝや、逆だらう。自分の信念に真直ぐなんだよ。
俺の細君をずつとやつてゐるのに、おまへはちつとも分かつちやゐない。」

などと漱石風に書きたくなつてしまふ。

小説家が小説家たちからご褒美をもらうなんてちゃんちゃらおかしいー
そのようなことを山本周五郎は言っていたらしい。
見上げたものだ。

さう云へば、初狩は確か唯一大月の里で富士が見える處だ。
勿論韮崎からは甲府よりも確りと富士が裾の方まで見える。
武田の遺臣の家系、富士を毎日のやうに見上げて、世界に冠たる独立峰の気高さを
一族隅々にまで行き渡らせたのかも知れない。



nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:[必須]
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。