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Vernal Breeze

おとといの、午後3時過ぎくらいことです。

私はいつもの散歩コースを歩いていて、そのときはある団地の最も西にある、
200メートルほど南北に延びる路地に入ったところでした。

目が良い私(!)は、その路地の途中にある、世田谷通りを跨ぐ橋を勢い良く駆けて渡る
少女をみとめました。上下運動がかなり激しい駆け方をする子で、
彼女を見ている私の視線上に重なっている歩行中の老人の背中がほとんど動かないので、
その子の<躍動ぶり>がさらに強調されるようでした。

近づいてくる少女は上背のわりには顔が幼くて、小学校高学年というところー
汗をかき、コートを手に持って駆けているのでした。
いよいよ至近距離まで近づくと、どういうことなのでしょう、
その女の子は走りをやめて歩き出し、私に向かって一瞬はにかむような表情をしてから
満面の笑顔で軽く会釈し、何か言葉を発したのですが、生憎私は例のごとくYouTubeで
音楽を聴いており、彼女が何と言ったのか全く分からなかったのです。

何て言ったのか、私のことを知っているのか、知っているのならどういう経緯でー

そのまま遠ざかっていく少女にそう訊きたいと一瞬思いましたが、
すぐに「そういう子なのだ」と思い直し振り返りもしませんでした。
「そういう子」とは、視線が合った人には笑みを見せ挨拶をする習慣を持つ子、
ということです。

私はすれ違う瞬間もちろん会釈し返していました。
見るからに明朗活発な少女が、輝く笑顔で挨拶してくれたなら、
誰だってこちらも笑顔で応じるに決まっています。

彼女に同じように挨拶されたstrangerたちは今までにきっと大勢いるでしょう。
おそらくそのほとんどの人が清々しい風に吹かれたような気分になったはずです。
私は振り返る代わりに弥生の空を仰ぎました。

東京の、もう春爛漫間近を感じさせる気持ちの良い昼下がりでした。


I Love You Too ーKing Reguyth & MNEMO
(Composed in 2000 / Re-recorded in 2020)
掲載終了


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