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なし崩し再び

毎日新聞によると、政府はトリチウム汚染水を海へ放出することを決めたそうだ。
宮城県知事の女川原発再稼働承認に続く、なし崩し的な暴挙だと私は思う。

じゃあ、どうするんだと訊かれるのだろう。

そもそも原発自体がどんなに技術の粋を集めても、自然の前ではuncontrollableな
ものになってしまうことが<絶対にありうる>ことを<知っていたくせに>
開発を進め、原発を設置したこと自体が暴挙だと私は思っているのだ。

汚染水や放射能まみれのゴミは世界中に蓄積していて、
それを最終的に安全なかたちで処理する技術はなく、
ありそうでも人間の技術である以上絶対はないのだからとにかく原発をやめるしかない、
これ以上造ってはならない、稼働させてはならないというのが私の考えだ。

火力発電だって大気を汚すし、二酸化炭素を排出するではないかと言われよう。
また、再生可能エネルギーだって、例えば風力発電なら本来通るべき風が遮られ、
なにかしらの自然循環を乱してしまう恐れがある。
しかし、原発は大事故が起こってしまえば、本当に大規模に取り返しのつかない事態に
唐突なかたちでなってしまう。
そのリスクは他の発電手段とは比較のしようがないではないか。
2011年の事故でも、本当にあと一歩で首都圏壊滅の事態だった。
それを防げたのは、人為によるものではなかった。
偶然、だった。

事故は起きるものだ。
原発の事故リスクも、それまでの有用性や効率などで十分ペイするという考えなら、
一部の犠牲はしかたがないという、原爆投下の論理と同じで、
その「一部」を蔑ろにする凄まじく恐ろしい考えだとしか言いようがない。

元々原発など造っていなかったなら汚染水海洋放出が適切だなどという議論もなかった。
「適切」であるはずもなかった。
それでも、造ってしまった以上、そして事故を起こしてしまった以上、処理は不可避だ。

処理をするというなら、世界全体に謝罪し、責任を追及されねばならない。
その処理が本当に現時点で最適なのかどうか全世界の科学者や政治経済関係者の
意見も聴かねばならない。

「風評被害」という言葉がまたぞろ出てきた。
「風評」もなにもないではないか。
実際にどんなに希釈しようが、トリチウムが海洋に放出されるのだ。
海が汚されることになんらの誤解もない。
たとえ仮に「ただちに人体に影響はない」レベルだとしても、
一体だれが喜んでそこの、そしてそこの周辺の産品を買うだろう。

それを知り尽くしているから全漁連は反対しているのに。

そして全漁連も結局は国の強硬策に反対しつつもいつかは振り上げた拳を下ろして
しまうのではないだろうか。
そんなことはないと怒られてしまうかもしれないけれど、
福島周辺海域の漁民でなければ所詮対岸の火事になってしまうのでないのか?
そうでないことを心から望むし期待するけれど。

トリチウム汚染水がどう広がっていくのかがはっきり分かれば、
つまりより多くの漁場が巻き込まれることが分かり、その情報が世界に拡散していけば、
きっと矛を収めることはできないはずなのだ。


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