SSブログ

大好きなところで

今年七月、登山家で山岳カメラマンの平出和也さんと中島健郎さんが
パキスタン・カラコルム山脈のK2(標高8611メートル)で滑落し、遭難ー
そして救助活動は困難であり、お二人が長時間全く動かないことから
打ち切られたというニュースは、もう旧聞となりつつある。

今日はあの御嶽山噴火から10年だそうで、山で命を落とす痛ましい事故について
考えてしまうのだ。

以前にも書いたが、その10年前、田中陽希さんの「グレート・トラバース」が
かなりの人気を得ており、世は登山ブーム、そんな中私は長野県松本市にいて、
噴火の11:52頃は、松本駅であずさを待っていたと思う。
松本から御嶽山は離れてはいるが、あずさが停車する南方向の隣駅塩尻からだと
そう離れているとも言えない距離にあった。

田中さんは御嶽山も噴火前に登頂しており、北アルプスの百名山の挑戦も終えて
東北の山々へ向かっている頃だったか、どうだったか。
私はMooさんのご紹介で松本や安曇野、大町の生徒さんらをお教えするようになっており、
北アルプスも毎週生で見るというようなことだったから、
俄然田中陽希ファンになり、また登山に興味を抱いていた。

御嶽山噴火のニュースはあずさの中で知ったはずだー
塩尻駅で、中央西線の線路を見つつ、「この奥だよな、御嶽山」と心の中で
つぶやいた記憶がある。

山のすばらしさは分かっているつもりだ。
百名山中、磐梯山しか登ったことのない私が言うのも烏滸がましいが。
さらに、山の怖さも分かっているつもりだ。
体験したというより、壮大な地形がただ美をのみ見せてくれる存在であるはずがないと
知っているからだ。

平出さんは「グレート・トラバース3」とかで陽希さんに帯同、映像を撮った。
ピオレドール賞3回受賞の平出さんにとって、三百名山制覇はさほどのことでも
なかったろうし、登山資金獲得のためのアルバイト感覚で随行したのだと思う。

YouTubeには平出さんと中島さん関連のビデオがいくつもある。
常人にはとてもやり遂げようのない登山の記録に胸打たれるが、
にこやかな表情で支援者やファンと交流する彼らを見ていて思うのは、
「彼らは好きな登山で死んでも本望なんだろうな」ということ。

ヒマラヤはもちろん、日本の三千や二千メートル級の山であっても絶対に安全に
登れるなどということはあり得ないのは彼らも重々分かっていたはずだ。
滑落、そして死という事態はいつでもありうることとして彼らは登っていたはずだ。

御嶽山で犠牲になられた方々は、まさかそんな噴火に巻き込まれるなど露にも
思っておられなかったろう。
秋の好天、アクセスもいい三千メートル峰への登山というよりピクニックという
気分もあったのではないか。

平出さんらは、しかし、いつも覚悟していたはずだ。
病院のベッドで息を引き取るよりは、大好きな山で事切れることをむしろ望んだ
かもしれないとすら私は勝手に想像する。

それほどに山を愛したのだ。
そうでなければ、高度8千メートルの垂直の氷の壁と言っていいようなところを
どうして登ろうと思うだろう。
そしてそれほどに愛しているのだから、そこで命を終えてもいいと密かに思う
ところがあったに違いないと思うのだ。

それは、桜を愛してやまなかった西行が桜咲く如月の望月の頃に死にたいと願い、
その通りになったことを思い出させる。

かく言う私も、野川で桜咲く頃、あるいは成城の崖下のはけで育った蛍が、
気まぐれに野川にまで足(?)を延ばす頃に、のたれ死んでもいいと思った昔を
今思い出している。


最後に、御嶽山噴火で犠牲になられた方々の、
そして平出さん、中島さんのご冥福をお祈りします。



nice!(1)  コメント(0) 

The Most Resilient Candidate Won

石破さんが自民党新総裁、すなわち次期総理大臣ということになった。
この人は自民党の森首相以来<初めて>知性派と言える政治家だ。
私にとっては賛同できない主張もあるが、所信は理路整然としており、
隙がほとんどない。

森、小渕、小泉Sr.、安倍、麻生、安倍、菅、岸田と、少なくとも大学まで何を学んで
きたのだろうというような基礎学力不足を感じさせる首相ばかりだった。
途中麻生さんの後に民主党の鳩山、菅(直人)、野田の3人が加わるが、
この人たちについては、前記自民党首相らよりマシだった言っておこう。

野田立憲民主党は苦労するぞ。
主義主張は石破さんとそう変わらないし、石破さんはスキャンダル・フリーな人だから
攻撃できる要素は乏しく、弁は野田さんより立つでしょう。
保守合同でも起こるんじゃないか。

選挙の顔としての石破さんに不安を感じる自民党議員は多かろう。
見栄えのする人では全くない。
しかし、これほど政治家としての安定感のある人もそうおらず、
それこそ本当の保守主義者なら本格派の登場ということでまとまる可能性はある。

対抗馬が負けて本当に安堵している。
米国議会にありもしない「官職」に就いていたと嘯き、TVに出るようになり、
成り上がった極右候補。
先祖3代21光(七光かける3)のボンボン候補。
パワハラ体質で他者の言うことに全く耳を傾けない独善極まる14光候補。
菅と麻生がキングメイカーになれず残念でした。

自民党は下野が当たり前だけれど、なんと最もresilientな人を総裁にした。
手強いねぇ。

野田立憲よりマシじゃないかとすら思っている。

それでもね、本当に政治家らしい政治家、国民を本当に心から気遣う政治家は、
命を賭けて行動している山本太郎だよ。
疑いない。


nice!(1)  コメント(0)