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そこには君がなりたい人たちがいる

私にとって最も親しい外国はThe UKということになる。
Beatlesこそ幼少の頃の私にとっての音楽になり今に至り、
また複数回(と言っても2回だが)渡航したのも「イギリス」だからだ。
NHKのニュースよりもBBCのニュースの方をよく見るし、
最近も待望のVeraのSeason 11をAXNミステリーで見て、
しみじみとそのイングランド北東部風景に親しみを感じ、
またなにしろそのドラマの緻密な作り、出演者たちの素晴らしい演技に、
イギリスという国の底力を思い知らされるのだ。

もちろん、住んだら住んだでいろいろと嫌になってしまうことがあろう。
土着の者ではないことのハンディキャップは多かろうからだ。

故郷會津は嫌いではない。
猛烈に郷愁に襲われるというようなことはないけれども、
やはり18歳まで生活した以上、そこの自然・風土に育まれてきた事実には深さがある。
おもしろいことに、最も田舎に恋しさを覚えるのはその厳しい冬に対してである。
私は雪に覆われた道を独り歩くのが本当に好きだった。

何度か書いてきたが、ChicagoのFlight 602はその雪の散歩に最も絡みつく曲だ。



歌詞はCaliforniaに憧れ、そこでの自由な生活を夢見る「you」のこと。
なのに飛行機は北へ、カナダという憧れとは逆方向の、遠いところへと向かっている。

民主党支持を公然と訴えていたバンドChicagoはなにより「free」である自分たちを
追求したのだ。ベトナム反戦、公民権運動への共感も、そう。
そのことはたとえ中学生の私でも知っていた。
共鳴する私は、だから、遅れまくっている中学教師たちを敵としか思えなかった。

私は、Chicagoがカリフォルニアに憧れたなら、イングランドに憧れた。


今、そのEnglandや他の連合王国を成す3国は高いインフレに苦しんでいる。
(もちろんThe UKだけの話ではないが。)
すでにインフレ率は9%に達しているとBBCが先ほど伝えていた。
光熱費に関しては40年来最悪の高さとなっていて、

Dame Clare Moriarty, the charity's chief executive, said.
"People washing in their kitchen sinks because they can't afford
a hot shower; parents skipping meals to feed their kids;
disabled people who can't afford to use vital equipment because of
soaring energy bills."

とのことだ。

そしてプーチンはウクライナを攻め続けている。
特に小麦生産が盛んな東部と南部が主戦場となって小麦価格は上昇し、
さらに大生産国の一つインドも大熱波で小麦輸出を止めた。
いよいよパンや麺類などが高級品になっていくのだ。

英首相Johnsonはウクライナへの軍事支援を西側ではアメリカに並ぶほど積極的に
行っており、その金が自国民の困窮に回せないのかという声も出てくるだろう
(もう出ているのだろうけれど)。

もうほんとに世界中無茶苦茶だ。


VeraのSeason 11は期待を裏切らず皆秀作だった。
驚くべきは、スコットランドとの国境に近い、イングランド最北東部の
ノーサンバーランド(Northumberland)というイングランドで人口密度が最低の
田舎を舞台にするドラマであるのにもかかわらず所謂「有色人種」の「イギリス人」が
登場人物の半数くらいを占める作品になったこと。
それが現実なのだろうけれど、他のミステリーものと比べ突出していると思う。
世界に冠たる移民国家アメリカのドラマかと見紛うばかり、
ある意味ではアメリカよりも人種の坩堝的だ。

ChicagoのFlight 602の歌詞に、

There are people there you want to be

というのがある。

「そこには君がなりたい人たちがいる。」

そうー
私も何度Liverpoolに生まれていたならと願ったことか。
なんでも抑えつけられた中学生の頃など、必死なほどの願いだった。
Veraに出てきた「有色人種」のイングランド人たち(その親や祖父母)も
そうだったのか。

イングランドに「なりたい人たち」がいるように思えたのか。



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